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心理学ワールド 88号 私のワークライフバランス 外部支援の活用が安心と仕事の要 伊東 昌子(成城大学経済研究所) | 日本心理学会

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Academic year: 2021

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バランス

私の

「仕事も生活もあきらめない」

研 究 者 を 応 援 す る 連 載 の 第 3

回は,介護・医療・家事などの

サービスを上手に使いこなし,

想定外の連続である認知症のお

母様の介護を乗り切られた,伊

東昌子先生です。

 私は2019年3月末で所属大学を

定年退職しました。定年まで仕事

を続けることができたのは一種の

奇跡だと思います。先に,女性教

授2名が,ご両親の介護のために

同時期に早期退職されました。教

授職の女性同僚と会うと,いつも

介護の話になりました。

 一人で介護をする綱渡りの毎日

と先の見通せない不安と突発的出

来事の中,特急を使って往復6時

間を要する通勤時間,企業との共

同研究の推進,仲間と立ち上げた

領域の国内標準化委員,専門書や

学術論文の執筆などを16年間続

けました。それは,一重に,外部

支援機関をフルに活用し,周囲の

方々に助けて頂いたお陰です。

 区の介護サービス,訪問医療

サービス,家政婦サービス,管理

人常駐マンション,認知症対応グ

ループホーム,何よりも個人で調

整可能な時間が信じ難い程ある大

学教員職でした。企業人であれ

ば,到底無理だったでしょう。

 親が認知症に加えて重病にな

ると,家族が日々判断すべきこと

が増えます。このとき,訪問診療

の先生にいつでも連絡できる,老

人ホームの方が病院まで付き添っ

て下さる,外部徘徊の危険は考え

なくてよい等々,安心材料を揃え

ることが,ライフそのものである

ワークで責任を果たす必須要件

です。というのも,介護する年代

は,女性も男性も重責を担う地位

にあるからです。特に自分の親で

ない場合,男女共同参画は現実的

ではないと,経験上は,思います。

 体が動く認知症の親の行動は想

定外の連続です。外部機関に相談

し,判断し,手を打つことで,責任

あるワークを続ける生き方が守れ

ます。また,親と少し距離を置い

て笑顔で対応できました。でも仕

事は3倍速複数同時並行で,締切

りを1 ヵ月前倒し計画で進めて間

にあわせていました。バランスを

考えるより先に,自分の道と役割

を見据えて進むのみです。

外部支援の活用が安心と仕事の要

成城大学経済研究所 客員所員

伊東昌子

(いとう まさこ)

Profile ─

1985年,慶応義塾大学社会学研究科心理学専攻博士課程単位取得退学。企業でのビ

ジネス開発の傍ら,2001年に広島大学教育学研究科学習開発専攻博士課程に入学し,

2003年に博士(教育学)取得。同年,常磐大学人間科学部に移籍。2019年,同大学を

定年退職して現職。専門は認知心理学,職場学習論(人材開発,熟達),人間中心設計。

男女共同参画推進委員会企画

年齢(西暦) 自分と仕事 業績 (欄の 期間 内) 国内 ISO 委員 企業 との 研究 開発 母の病状と介護状況 31歳(1985)慶應義塾大 博士課程単位取得退学 論文1 非常勤講師 書籍1 35歳(1989)カリフォルニア大学バークレイ校留学〜 1990 ロマ・ブリータ大地震 38歳(1992)味の素システムテクノ就職 大怪我をした母の看病で体を壊し入院 書籍1 論文2 70歳:東海地方の自宅から手伝いのために通っていた県内の寺院の階段から落下し 大怪我をして入院 40歳(1994)NTT-AT 社:研究開発事業ユニットHIT センタ事業企画・設立 この頃には,離れた地方での一人暮らしはリスクが高くなってきたため,夫の了解を 得て,東京に呼び寄せ,一緒に暮らし始める 44歳(1998)HIT センタは認知度を上げ,顧客の製品領域や技術領域が広がる 書籍1 論文2 46歳(2000)「人間中心設計」が浸透し,計”のビジネスから,“研究開発”“評価と設“組 織導入”のコンサルティングへ移行 78歳:眼前にない物を忘れ,鍋などを何度も焦がしたり,家の階段からすべり落ちた りするので,母は見渡せる範囲に生活用品がある暮らしが可能なマンションに引っ越 した 47歳(2001)NTT-AT に所属しながら,広大博士課程後期を受験し入学 書籍3 論文3 79歳から80歳:一人暮らしが合っていたと見え,元気になり,友達もできた様子。ただし,段々と清潔感が衰えてきて,その点で困ることも増えた時期 49歳(2003)広大:博士(教育学)取得。NTT-ATから常磐大学へ移籍。前年度に離婚 50歳(2004)5月急性喘息で倒れる 書籍1 論文5 82歳:自己モニター力が低下。介護サービスを調べ始める 54歳(2008)教授職 86歳頃から徐々に話している記憶は数秒しか持続しなくなり,不潔行動や他者に対 する社会的判断としての不適切行動がトラブルを引き起こすようになる。訪問診療, 介護支援を利用。要介護を取得。デイサービスなども利用したが,体調を壊す 59歳(2013)学部に加え研究科教員 論文3書籍1 61歳(2015) 書籍1 論文3 92歳:肺炎で入院,癌のため手術入院 62歳(2016)サバティカル(東京大学) 93歳:老人ホーム入居,再手術 63歳(2017) 94歳:自力歩行困難。出血が頻繁。 64歳(2018)3月研究室で倒れ入院。4月学科長 論文4 95歳:癌自由診療,11月死亡,お葬式 年末までに死後事務処理, 老人ホーム明け渡し 65歳(2019)3月末大学退職,研究室の明け渡し 書籍執筆中1論文1

参照

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